2008年10月31日金曜日

拍子は灰

ツェッペリン
高田渡に
矢野顕子
ワナホラララブ
ワナホラララブ

(『十月の選択』(出版未定))

2008年10月30日木曜日

大宮は緑

冬の入り
足を伸ばした
高校で
17相手に
また繰り返す

(『十月の選択』(出版未定))

2008年10月29日水曜日

大皿は白

器やかん
釜フライパン
中華鍋
河童の皿さへ
ここにあるかな

(『十月の選択』(出版未定))

2008年10月27日月曜日

刃物は白

研ぎ澄ます毎に
切れなくなる

それで切るのが
自分であれば

(『十月の選択』(出版未定))

2008年10月24日金曜日

秋夜は黒

小夜歩き
ま暗な公園
横に見て
肌に感じる
ま暗な秋の目

(『十月の選択』(出版未定))

2008年10月23日木曜日

弔人は黒

人の死に
流るる涙
滔々と
吾もそれに乗り
淵に向かわん

(『セニョール・ホニの涙』(出版未定))

2008年10月22日水曜日

夢中は闇

夢の中で犬になる
犬なのか
何なのか
なぜ分かる?

けれど、犬

(『十月の選択』(出版未定))

2008年10月21日火曜日

落葉は茶

走ります
かさかさかさかさ
かさかさと
秋の落ち葉の
かさかさ天国

(『メス犬のひとりごと』(出版未定))

2008年10月20日月曜日

日曜は白

初秋の
朝の空気の吸いたさに
いつもより早く起きます
日曜日

(『メス犬のひとりごと』(出版未定))

2008年10月18日土曜日

懇談は白

子の顔を見て
親の眼を想う
親の言葉聴き
子のいつもを読む

(『教室のうた 1』(出版未定))

2008年10月17日金曜日

覚醒は黒

安らかに眠る命の
覚めくるは
存在
の謎の
始まりにてあらん

(『飼い主の戯れ言』(出版未定))

2008年10月16日木曜日

田町は赤

たまに来て
飲んでしゃべって
帰る友
度ごとに減る
量も強さも

(『セニョール・ホニの涙』(出版未定))

2008年10月15日水曜日

足音は無

那に知れぬ
風の気配に
振り返る
秋の足音
枯れ葉の薫り

(『メス犬のひとりごと』(出版未定))

2008年10月14日火曜日

通過は銀

行ったり来たり
日々の駅
行ったり来たり
じっと黙っている
日々の駅

(『セニョール・ホニの涙』(出版未定))

2008年10月13日月曜日

うどんは白

ずる つる にゅ
にゅるる つるつる
つるにゅるぬ
つるる ずずずず
にゅるつるぬ

(『酔っぱらいのうた』(出版未定))

2008年10月12日日曜日

漂香は朱

妻がいう
「芳香剤のいらない季節」
漂う夜の金木犀の

(『十月の選択』(出版未定))

2008年10月11日土曜日

一息は銀

人に気付いて
人を避け
人であることに、
は、とする
この日

(『教室のうた 1』(出版未定))

2008年10月10日金曜日

秋空は水

秋高し空に
手を差し上げ
つかむ
水色の上
貼り付いた雲

(『十月の選択』(出版未定))

2008年10月9日木曜日

濃緑は緑

空高し
光る緑も影を増し
落つる光を
受けきれずおり

(『武蔵野』(出版未定))

2008年10月8日水曜日

湿気は灰

うらめしや
落ちくる雨が
名残を惜しみ
ふわり漂う
秋の宵

(『十月の選択』(出版未定))

2008年10月7日火曜日

講読は白

言葉の裏
表は見えねども
かの人を想いて
なお精読(あいぶ)して

(『教室のうた 1』(出版未定))

2008年10月6日月曜日

傘花は紺

乱れ髪
寝ぼけまなこに
傘の花
ひと雨ごとの秋
忍び寄る

(『セニョール・ホニの涙』(出版未定))

2008年10月5日日曜日

一人は赤

舞い踊る、汝
あまたの眼の中で
ひとりではなく
あまたの眼の中の

(『十月の選択』(出版未定))

2008年10月3日金曜日

秋色は朱

深まるや
鏡に見えぬ
風の秋
樹々の葉が
染まり始める朝

(『セニョール・ホニの涙』(出版未定))

2008年10月1日水曜日

選択は白

別れ道
ぶつかる、
えらばねばならぬ

後ろ向くより
前を向いた眼

(『十月の選択』(出版未定))