2008年11月29日土曜日

新宿は闇

戻り行く
時空を裂いて
遥かな記憶
酒のしずくに
熱を感じて

(『酔っ払いのうた』(出版未定))

2008年11月28日金曜日

宵越は黒

残る酒
頭をもたげて
息を吐く
寒空の風に
酌するつもりで

(『十一月は準備して』(出版未定))

2008年11月25日火曜日

花咲は無

花は咲かせる、から
花は咲く、そして
花はあるのだ、へと

(『教室のうた 1』(出版未定))

2008年11月24日月曜日

黄色は秋

黄色が秋
澄み渡る朝に
映えるは黄色
秋の黄色
黄色

(『十一月は準備して』(出版未定))

2008年11月19日水曜日

銀杏は黄

脇行く男学生(おとこ)の
「…きれい…」
の先は
青空しょった
銀杏の鮮やか

(『教室のうた 1』(出版未定))

2008年11月18日火曜日

握飯は赤

昼毎に
微かに違う
固さ噛み
君の手付きを想う
飯粒

(『十一月は準備して』(出版未定))

2008年11月17日月曜日

薄雲は白

薄くもり
淡い光の
静けさに
浅い疲れを
微睡み眠り

(『十一月は準備して』(出版未定))

2008年11月16日日曜日

陶芸は白

焼き上がる
白の器に
よそわんは
酒の滴か
言葉の水か

(『十一月は準備して』(出版未定))

2008年11月15日土曜日

絵画は紫

名にし負う
かなたの天才
来たり見て
そのキャンバスに
誰を探すや

(『ピカソの憂鬱』(出版未定))

2008年11月14日金曜日

正気は空

正気なり
その正気なる
有り様が
正気の沙汰に
有らざるや、いかに

(『十一月は準備して』(出版未定))

2008年11月13日木曜日

仰天は水

同じ空
昨日も明日も
青い空
見るも見ずとも
死ぬも生きるも

(『セニョール・ホニの涙』(出版未定))

2008年11月12日水曜日

冬到は白

今日が冬の
始まりなりと
繰り返す日の続いては
冬ぞ来るなり

(『十一月は準備して』(出版未定))

2008年11月10日月曜日

視界は黒

振り向けば
そこにあるのに
気付かない
人に
叩いて起こされるまで

(『セニョール・ホニの涙』(出版未定))

2008年11月8日土曜日

墓参は水

青空
歩く
手に花
桶に水
墓石
線香
合掌

想い出

(『十一月は準備して』(出版未定))

2008年11月7日金曜日

親戚は黒

血の道は
他人身内は
世も知れず
長い流れの
赴くがまま

(『十一月は準備して』(出版未定))

2008年11月6日木曜日

秋花は黄

秋に咲く花を見て
春を想い
冬を越える力で
春を待つ

(『十一月は準備して』(出版未定))

2008年11月4日火曜日

学祭は赤

作品は
手を離れたら
歩き出す
心配要らぬ
心配要らぬ

(『十一月は準備して』(出版未定))

2008年11月2日日曜日

街角は風

曲がり角
曲がったら、ふと
冬の気配
木枯らしの舞う
枯れ葉の舞台

(『メス犬のひとりごと』(出版未定))

2008年11月1日土曜日

呑介は赤

江戸にある
酒をさまざま
呑み尽くし
江戸の酒屋の主に
誉めらる

(『十一月は準備して』(出版未定))