降雪は白

白が降る
様々な色の上に
白が降り積む
しんしんしんと

（『二月は賑々しく』（出版未定））

香住は白

春はかすみ
やうやう白く
なるみちに
たなぶかほりの
妖しく籠りたる

（『二月は賑々しく』（出版未定））

春雨は白

春の雨
温もり始めた
芽を硬め
溶ける氷も
溶け切れずあり

（『二月は賑々しく』（出版未定））

知識は無

「知る」という
しれた行為よ
陽炎の
霧散する朝
無名の土地で

（『スペイン恋歌』（出版未定））

睫毛は白

お別れの朝
雨の中
窓向こう
別れ際までは
別れる前

（『こどもの気持ち』（出版未定））

路地は黒

闇を掃く
ハモニカの音よ
吉祥寺
路地の奥まで
届いて帰り

（『こどもの気持ち』（出版未定））

巡回は黄

皇居前
日ノ出桟橋
放送塔
仲見世巡り
鳩は八重洲へ

（『こどもの気持ち』（出版未定））

寒暖は赤

如月に
暑さ寒さの押し相撲
あっちが勝つか
桜は未だか

（『二月は賑々しく』（出版未定））

景気は白

フケーキと
いう名のケーキ
平らげて
ケーキを沢山
食べたし夕べ

（『メス犬のひとりごと』（出版未定））

陽気は銀

白
日差し
窓を開け
思いがけぬ陽気に
チョコも心も溶けて

（『二月は賑々しく』（出版未定））

紅白は桃

梅見月
目の外側に
ふと気付く
淑やかにある
紅白の梅

（『二月は賑々しく』（出版未定））

春霞は白

春一番
吹きすさぶ
黒の戸張落ち
うすくたなびく
春霞あり

（『二月は賑々しく』（出版未定））

春風は黄

曇空
寒さを空の下に敷く

弾くが如く吹け
春一番

（『二月は賑々しく』（出版未定））

懸念は黒

帰り道
懸念に捕らわれ
足下見
空の青さも
信じられずに

（『二月は賑々しく』（出版未定））

昼休は緑

昼下がり
日向ぼっこに
散歩におやつ
最後はやっぱり
ソファーで連ドラ

（『メス犬のひとりごと』（出版未定））

音楽は赤

音楽は言葉を孕み
堕ろしたり
育んだりする

波の満ち引き

（『セニョール・ホニの涙』（出版未定））

交接は虹

動脈と静脈の交わる時間
赤で始まり
夜は
赤で終わる

（『二月は賑々しく』（出版未定））

冒涜は白

酔いどれの
これに乗ろうか
降りれるか
酒の気持ちを
図られず居り

（『酔っぱらいのうた』（出版未定））

高崎は青

高崎も青
三鷹も青と
言い切れば
どこも青なり
この世の空は

（『二月は賑々しく』（出版未定））

地方入試で見た高崎の空でした。