2009年4月30日木曜日

道行は赤

志ん生の道は蕀よ
そを歩く
人が蕀を薔薇に変えても

(『ひとつの計画』(出版未定))

2009年4月29日水曜日

春咲は斑

花の道
行き過ぐ時を
彩りて
眼の縁より
零れし虹色

(『四月の漆黒』(出版未定))

2009年4月28日火曜日

報復は黒

志ん生の後の
肥やしを耕して
実った先は
酒の報いか

(『ひとつの計画』(出版未定))

酒色は無

願掛けて
叶う酒なら
辞めようと
誓ったその日に
祝い酒かな

(『酔っぱらいのうた』(出版未定))

2009年4月27日月曜日

指先は銀

志ん生の
指の動きを
眺めたく
醜い酒を
試しに飲んで

(『酔っぱらいのうた』(出版未定))

2009年4月26日日曜日

睡眠は斑

むじゅうりょく
うえもしたも
みぎもひだりも
まんなかだって
ねむってしまえば

(『メス犬のひとりごと』(出版未定))

形式は水

「形」という
知の集約に
戸惑いつ
形なき身の
我が身の形よ

(『ひとつの計画』(出版未定))

土地は黒

黒の土地を
歩く
さあ
言葉は置いて
無言の襞を
なぞり
辿りて

(『メス犬のひとりごと』(出版未定))

世界は金

世界という
板の狭さに
驚いて
掌の真を
吹き散らしたく

(『ひとつの計画』(出版未定))

2009年4月22日水曜日

解糸は白

精神の
端に絡んだ
解れ糸
解こうとしたら
指に縺れて

(『四月の漆黒』(出版未定))

土地は白

土地という
遠い呪縛の源よ
故郷に化け
我を諭さん

(『ひとつの計画』(出版未定))

2009年4月21日火曜日

電車は緑

右左
揺れる電車の
リズム取り
合わせよったら
間にゃわんぞ
もし

(『ひとつの計画』(出版未定))

伝達は無

言いたいのだ
表したいのだ
しかし
伝えられない
伝えきれない

(『ロゴスの続き』(出版未定))

跳躍は白

昨日より
低うなりよる
ハードルの
白きラインが
股下を過ぎ

(『ひとつの計画』(出版未定))

合宿は黒

あさぼらけ
百キロ先の合宿所
すべての道が
ローマへと続く

(『ひとつの計画』(出版未定))

川水は無

全面の
光る思い出
四万十の
弾く滴も
流れる水も

(『ひとつの計画』(出版未定))

2009年4月20日月曜日

運搬は青

トラックは
運びに運ぶ
汗みどろ
親父の声と
血を飲む橘

(『ひとつの計画』(出版未定))

下校は緑

旗を持ち
歩く下校の
登り道
あの坂道は
どこまで続く

(『ひとつの計画』(出版未定))

正体は白

食事時
お留守番前
昼寝中
こゆきが犬に
なるときそれは

(『飼い主のひとりごと』(出版未定))

肥料は灰

おばば言う
肥料にまみれ
死んだ子の
その叫び音が
海鳴りと鳴り

(『ひとつの計画』(出版未定))

崖下は青

帰り道
臨む崖下
落つる友
死ぬる写真は
セピアにできず

(『ひとつの計画』(出版未定))

緑藻は葵

ガードレール
越した向こうに
春の草
緑に惹かれて
口にしてみる

(『ひとつの計画』(出版未定))

山登は白

昇る足
アキレス腱の
その角度
汗の匂いと
海の匂いが

(『ひとつの計画』(出版未定))

海岸は茶

与村井の
浜の景色は
静やかで
下るお子らの
足も忍んで

(『ひとつの計画』(出版未定))

2009年4月19日日曜日

計画は緑

死ぬときは
想い出の数
数えてよ
何度も何度も
思い出してよ

(『ひとつの計画』(出版未定))

2009年4月17日金曜日

曇空は灰

薄曇り
たれ込む雲の
その向こう
あるは太陽
想うは誰そ

(『ロゴスの続き』(出版未定))

2009年4月16日木曜日

黒燕は白

春つばめ
黒尾の描く
その円の
円の向こうに
見える夏色

(『四月の漆黒』(出版未定))

2009年4月15日水曜日

白壁は赤

夕まぐれ
白き心の
語る目は
この胸の壁に
色を残して

(『四月の漆黒』(出版未定))

2009年4月14日火曜日

赤人は赤

ヘーゲルの口づけ
赤人の囁き
この耳元で

聞こえる

(『ロゴスの続き』(出版未定))

2009年4月13日月曜日

名残は白

暫しの別れ
熱き涙も
行方を知らず
喉を越す酒が
泣き

(『四月の漆黒』(出版未定))

2009年4月11日土曜日

春先は黄

熟れた腰を
たゆませ歩く
OLよ
花の命も
果実の時期も

(『四月の漆黒』(出版未定))

2009年4月10日金曜日

味噌は茶

春日差し
昼寝のあとの
脳みそは
かすみたなびく
歌景色かな

(『四月の漆黒』(出版未定))

2009年4月9日木曜日

幼葉は緑

桃色の
後の緑は
幼くて
空の淡さに
染まず滲まず

(『四月の漆黒』(出版未定))

2009年4月8日水曜日

重杯は黒

重ね行く
杯のリズムや
酔い良いに
一夜人世の
酒の幻

(『酔っぱらいのうた』(出版未定))

2009年4月7日火曜日

主観は赤

客観を求めた先に
主観立ち
主観の終が
客観ならば

(『ロゴスの続き』(出版未定))

2009年4月6日月曜日

御酒は無

焼酎は
お湯や水割り
日本酒は
燗がよろしや
ラムストレート

(『酔っぱらいのうた』(出版未定))

2009年4月5日日曜日

宜長は白

宜長や
西行法師はさもあらん
やれ犬どもも
花に惹かれて

(『四月の漆黒』(出版未定))

2009年4月4日土曜日

百代は桃

君とした
百代の契り
この春も
花の下にて
色と眺めん

(『四月の漆黒』(出版未定))

2009年4月3日金曜日

尻尾は白

顔という
人の装置に
騙されて
尻尾で語る
犬の迷いよ

(『飼い主の戯れ言』(出版未定))

2009年4月2日木曜日

花色は白

あの色は
桜の色か
ま白にて
烏がかあで
薄闇に映え

(『四月の漆黒』(出版未定))

2009年4月1日水曜日

鱗粉は黒

蝶が舞う
空気の襞に
羽を刺し
その鱗粉を
空に滲ませ

(『四月の漆黒』(出版未定))