宵寝は水

嫁どもの
見おる此岸は
あの人の
見よる彼岸と
如何に違わん

（『嫁の夢』（出版未定））

矛先は銀

ベルグソン
先のフロイト
ややプラトン
よいの気勢を
矛先に乗せ

（『酔っぱらいのうた』（出版未定））

人情は白

人情の
影に隠れて
この四十（よそ）を
流れた報いを
宵酒に乗せ

（『五月の誤解』（出版未定））

苦瓜は緑

スパム抜き
ゴーヤだらけの
チャンプルは
にがいうまいで
舌が踊りて

（『五月の誤解』（出版未定））

旅行は金

きた向かう
旅の途中に
よい酒よ
まだ見ぬ風の
冷ややかに乗り

（『五月の誤解』（出版未定））

曇空は灰

雨便り
届いた空を
返り見て
まだ来ぬ夏を
諦めず待ち

（『五月の誤解』（出版未定））

陸奥は春

きたの地は
巻き戻しの
季節
ここは春
春の色とは
他にあらずや

（『五月の誤解』（出版未定））

空屋は白

空っぽの部屋よ我が内
空っぽの心を
冷やしたもことなかれ

（『五月の誤解』（出版未定））

回顧は灰

またここも
懐かしむ日が来ようかと
普段見ぬ地に
足を踏みやり

（『五月の誤解』（出版未定））

秀雄は白

音で聞く
小林秀雄の言霊は
鼓膜を貫き
髄に染み込み

（『ひとつの計画』（出版未定））

年取は桃

年毎に重ねる歳を
数えては
なにを計りて
なにを嘆かん

（『五月の誤解』（出版未定））

有無は無

何事でもないんだよな
今
何事でもないから
大事だったり

（『ひとつの計画』（出版未定））

胸元は白

胸元に潜り
あなたの鼓動を聞きながら
胸元で眠る
午後

（『メス犬のひとりごと』（出版未定））

十年と目眩

歌声は金

清志郎
井上陽水
矢野顕子
桑田佳祐
止まずに歌え

（『ひとつの計画』（出版未定））

う〜ん、残念だ。

連休は白

春色の中にそそっと
金色の時間が入りて
夏色を待つ

（『五月の誤解』（出版未定））

頭回は青

合わせおる
頭蓋と頭蓋
言葉越え
伝わる振動と
空白と

（『五月の誤解』（出版未定））