2010年6月30日水曜日

確信と言葉

XXを分かった、捕まえた!、と思い、
「XXとはこうだ」と言葉にしようとした瞬間に、
XXは逃げて行く。

10年ぶりにスペインに長期で来て3ヶ月が経つ。
この3ヶ月に「XX=スペイン、およびその関連」の瞬間がもう何度もあった。

悔しくもあり、嬉しくもあり。

2010年6月26日土曜日

雷雨と勝利

数日、夜に雷雨。


ピカッッ。


写真で撮ると、昼間のよう。
右奥にライトアップされて見えるのがテアトロ・レアル(王立劇場)。

さて、夕べは雷雨が上がった頃に、スペイン対チリが始まった。


こちらで知り合ったMさんと連れ合いと一緒に Plaza de dos de mayo(5月2日広場)の近くのバルで観戦。
この辺りは10年前に学生の頃済んでいた場所。
下町で結構、名店がある所。


今回はスペインもお尻に火がついていたので、皆の目の色も違う。
点が入るたびに、バルが壊れそうな歓声が(笑)

結果、僕はあまり良い試合であるとは思えなかったが、勝ちましたスペイン。
バルも街も歓喜のリズム。

来週火曜に、パラグアイ対日本、スペイン対ポルトガルがあり、次にその勝者同士が当たるようですね。
…ということは、日本対スペインも!
しかしうちのアパルタメントの管理人、アントニオの祖国パラグアイは、強い!!

どう転んでも楽しい大会だなぁ。

2010年6月25日金曜日

勝利とスト

日本、対デンマーク戦、いい動きだった!
なんとスペインでも民放の Cuatro が中継してくれた。
連れ合いと大興奮で見た。

Honda と Kawashima をすごく褒めてた。
特に動きの良かったチャンスの際には、こちらのアナウンサーも興奮して、「ブラジルみたいな動き!」と叫んで。
狭いスペースでの見事なパスさばきでも、うなっていた。

スペインは、勝つだけではダメだ、というサッカー観だ。
いい試合、美しい試合を求める。
そういう国のアナウンサー、解説者にあれだけ言わせればいいんじゃないか。
もちろん、デンマークのミスは信じられない、も同じくらい連発していた。

来週火曜の、対パラグアイ戦。
うちのポルテーロ(管理人)のアントニオはパラグアイ人…。
明日のいい話題ができた(笑)

試合後メールを開いて、数日前に来ていたメールに目が行った。


Renfe(スペイン国鉄)から25日に向けてのスト通知。
ネット予約をときどき利用するので登録アドレスにお知らせ、というわけ。

明日25日は、大事なスペイン対チリ戦だよなぁ〜(笑)
と勘ぐってしまうのは、僕だけ?(笑)

2010年6月24日木曜日

季節と色彩

季節には色がある。

ちょっと前に、「景観」は人も含む、と書いた
家を一歩出ると、その景観の中に僕らは入り込むわけだ。
もちろん家の中だってひとつの景観であるのだが。


スペインの景観。
3ヶ月前、来た当初は、馴染めない景観に外に出ると体のどこかがいつも反応していた。
頭も体の一部。


それが、慣れ、という人間の優れた能力と。
それなりに周りを観察してきたことで。


随分と、景観に過剰反応しないようになった。
人が景観に馴染むように、景観も人に馴染む。
周りのスペイン人と僕らが馴染む、仲良くなる、という言い方が分かり易いかな。
ひとつの例として。


スペインの夏の緑もなんか自分たちのもののように感じ。


青空も、息を溜めずに、きれいだね、と、言うように。


本当は自分たちの景観にはなかった季節の色にあまり驚かなくなった。

それでも、時々ふと気付くと、やはり僕らは少し緊張して歩いていたり…。
それは、ちょうど地面の上数ミリに浮かんでいる感じ(笑)


その意味で、以前も今も一番景観に馴染んでいるのは、こゆきだな。


国際的とはやはり、矛盾しているが、国際的ではないことなんだな。
なぁ、こゆき。


お前の目に映る、スペインの景観って、どんなんだ?

2010年6月22日火曜日

表面と泥酔

虫の知らせ、というのはある。
僕らは個人個人で生きているように「表面上」見えるが、根っこはしっかりひとつだからだ。
どこかで何かが起こると、そして、それが自分のルーツ(根っこ)に関連するものだと、ビビッときて不思議はない。
むしろ来ない方が僕に言わせれば不思議なくらいだ。

僕らは「言葉」を始めとして「表面上」に惑わされることが上手になった。
むしろ、「表面」しかない、くらいになった。
根っこを感じることが不得意になった。

しかし、単純な話。
他人が泣いていたら、悲しい。それが自分の身の回りの人だったらそれだけ悲しい。
これは、「言葉を聞いているときに相手が使っている脳の部分と同じ自分の脳の部分が活性化される」というような、「科学的」説明を受けるまでもないことだ。

ほぼ日で連載された野村潤一郎の「いきものの先生」の中で犬と飼い主のテレパシー(『根っこ』を表すためにいろんな表現があるものだ(笑))の話があった。
おぅ、これもそうだそうだ、と。
なんで、僕らはプリミティブなことが分からなくなったのだろう。いや、分かろうとしなくなったのか。
色んな難しい話は分かるのにね。

で、先日。
連れ合いがうまい具合に気付いて。
こゆきと僕らのつながりを。
この時間を考えると僕が建物に入る前からもう分かっている。
うちは建物の4階にある。
流石、言葉を覚えようとしない彼らはこれらのプリミティブな感覚が冴えている。
耳がいいとか、鼻がいいという、所も含めてね。



あ、途中から出てくる酔っぱらいは無視して下さい(笑)

2010年6月21日月曜日

応援と勝敗

今週末は色々とあって遅くなった。
明日はもうスペイン-ホンジュラス戦だ。
う〜む、本当はどちらにも勝って欲しいカード(笑)

で、この前のスペイン-スイス戦のときのバルでの応援模様です。
想像よりも落ち着いた感じに見えると思うが、最高に盛り上がって慌ててカメラらのスイッチを入れる、という順序なのでどうしても最高潮には間に合わない。


さて、明日はどうなることやら。
いのしし魂は発揮されるか!?

2010年6月16日水曜日

偶然と再会

前にも、僕には「バッタリ運」がある、と書いた。
またまた、その運命の女神がウインクした。
この前書いた韓国人のスペイン語研究者、リンさんとの再会である。
彼とは10年前、マドリード・コンプルテンセ大学の授業で知り合った。
とは言え、もうそのとき既に彼は大学の教員で、今回の僕と同じサバティカルで来ていた。
その後、韓国で行われたスペイン語の学会などで数度顔を合わせてはいたが、最後に会ったのは6年以上前だと思う。

4、5日前の晩。
その日は一日、僕もデスクワーク尽くめで、連れ合いも語学学校帰りで疲れていた。
バルで軽く夕飯取ろうか、でも、うち周辺はもう行き尽くしたし、ちょっと気分転換に少し歩いて開拓しようか、ということになった。

グラン・ビアから北にある、オルタレサやフエンカラルという特に近年若者に人気の通りまで散歩してみようと。
気まぐれに。
ゲイの街、チュエカ近くで良いバルを見付けて軽い夕飯。
ほろ酔い気分で帰っていると、どこかで見た記憶のあるアジア顔。
お互いが同時に、あれっ!?
握手の手を伸ばしながら、お互いがお互いの名前を思い出しつつ……
…だよねぇ!!、という感じで。
慶熙大学のスペイン語学科の先生。
数名の学生らしき連れと歩いてた。



雨後の景色は冴え渡るのだが。


出会いも雨も、突然、は心臓によろしくない…(笑)

2010年6月15日火曜日

晴間と小宴

日本、カメルーンに勝ったようですね!
シエスタ(昼寝)中だったのだが、韓国人の研究仲間リンさんからの「おめでとう、やったね」メールで起きた(笑)彼についてはまた明日話さねば…。
もちろん、こちらスペインはまったく日本の試合には無関心なので開始時間を忘れてた…

昨日うちでマドリード初のフィエスタ(パーティー)をした。
こちらの Liga Española で頑張っているりょうた君とそのノビアのまゆこさんを招待して。
そのときに、カメルーン強いよね、という僕に、りょうた君が、いや、いまカメルーンのチーム、中で分裂してるみたいだから分かりませんよ、と。
そのりょうた君の視線は的を得ていたことになる。

りょうた君は来期、指導者のライセンスを取るこちらの講座に出る。
長年の夢であったらしい。
心から応援したい。
日本に一番足りないのは、指導者だ。


まるで梅雨のような1週間の雨模様を忘れさせる青空。
夕方のフィエスタのために、朝方、こゆきの散歩がてら、ラストロ(蚤の市)に。

途中のプラサ・マヨールも気持ちイイ〜。


影と青のコントラストが目に沁みる。


ラストロに着くと、この時期だから。
サッカーの小物を売る店がいつもより軒を連ねる。
連れ合いが「スペインのユニホーム欲しいけど、もっとちゃんとしたのが…」(笑)
7€だもんな(笑)750円。


明後日は、いのししスペインの登場ですよ。
「いのしし」とはこの前、行きつけのバル、イーリスでバル仲間のペペと今回のワールドカップについて話していたときの。
「お前らも知ってる様に俺たちは『いのしし』だからな、まぁ、見てな」

りょうた君も、今回のスペインは、やる可能性が高いですね、と。

明日、Tシャツを買って、明後日はイーリスで観戦かな(笑)

2010年6月12日土曜日

音楽と年齢

若くないといけない、とか、歳を重ねないといけない、という言説に対しては、芸術は年齢ではない、と言うことができる。
だけど、芸術は最終的に人間性だ、という時には、なにか年齢が絡んでいるように見える。

水曜日の夕方に Suma Flamenca というタイトルの一連の公演のひとつ、Manolo Sanlúcar のギターを聴いてきた。
また忘れられない演奏に出会った。
研ぎすまされた、という演奏では決してない。
前日に左半身の麻痺をもたらす発作があったらしい。

演奏の前半は、確かに、もどかしそうに弾いているというのが素人目にも分かった。
しかし、後半は。
繊細で且つ大胆。この言葉は、曖昧に素晴らしいものをさすときに便利だ(笑)
しかし、そのものであった。

フラメンコギターというのは、その力強さ故に、その強さをアピールするが故に、雑な演奏になったものを聴くことはままあることだ。
バランスなのである。
繊細な音の粒の連打と、かき鳴らすあのラスゲアードの騒音の。

そして演奏の間につぶやく、あの言葉。
高田渡を彷彿とさせる(笑)、プロの言葉。


しばらく聴き込んでみようと思う。

2010年6月10日木曜日

曇天と休暇

予想は外れるためにあるのかもしれず。
ありがたいことに、肌寒い。
連日35℃が嘘のよう。


大学は今週、来週辺りが今年度の最後の試験で夏休みに突入する。
先日日本のセンターにあたる Selectividad も行われた模様。
新年度は10月からだ。

指導教官に会いにいくと、教官室の前に学生の山。
テスト前の質問攻めである。
……少し日本の仕事のことを思い出してしまった…

スペインにいる間はこちらでしか味わえないことを沢山やろうといつも意識しているのだが。

先週の土曜日は Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía(ソフィア王妃芸術センター)に。
土曜は午後の2時半から無料。
ゲルニカを久しぶりに堪能。


次の日曜はりょうた君の出る2度目のサッカー観戦に。
勝った!


まぁ、しかし、意識すればするほど、日本の記憶も蘇り易くなるもので(笑)
そして、そろそろ、夏のスペイン訪問者達の予約連絡が届く時期。


でもこゆきはマイペース。


むむぅ。
暑い夏は日本にいるときよりも忙しいかも…(笑)

2010年6月5日土曜日

暑気と古都

ということで、トレド小旅行です。

こんもりとした丘の周りをタホ川がゆったりと流れる古都なのだが。
前回訪れたのは何年前か?
その時と随分様子が変わった。

丘なので、街の中央にたどり着くまでに随分と坂を登る必要がある。
はずが、だ。
なんと、丘の中腹辺りに、エスカレータが。
一カ所だけではなく、何本も。

幸いなことに、それを知らなかった我々は、ゆったりと(そう、ゆったりと)階段を。
汗を垂らしながら。
しかし、この階段も実は近年できたもの。



観光し易さと、よき旧跡である、ということの間には、比例関係はないな。
あの坂を登らずして、トレドを往来した様々な民族の跡は辿れまい。
そして、トレドが優れた要塞であったことも。

観光し易さと比例するのは、観光化しようとする気持ち、つまり人集め魂だけだ。
そして、けっして観光客はそれ、人集め魂を感じに観光するわけではない。

2010年6月3日木曜日

暑気と冷気

昨日はセビーヤ以来の小旅行で、連れ合いと愛犬を連れ、西ゴート時代(415 - 711)の都、トレドに行ってきた。
が、この詳しい話は後日ビデオを編集してから載せます。

暑かったぁ。が、第一の感想。

そこで、スペイン版アイスコーヒーを。どうぞ。

頼み方は、「エスプレッソと氷!」¡Café solo con hielo!
(カフェオレと氷、などでももちろん。 ¡Café con leche con hielo!)

熱いコーヒーと、グラスに氷。


注ぎます。


はい、出来上がり(笑)
召し上がれ。

ちなみに砂糖を入れる人は、熱いエスプレッソに入れて溶かしてからがおすすめ。

2010年6月1日火曜日

海外と墓場

こちらに来て、既にこちらで家庭を持っている日本人、これからそうなるであろう日本人何人かと会った。
僕のそれらの知り合いはたまたま全て女性だ。

ちょうど想いを馳せていた。
散歩やウォーキングをしながら連れ合いと。

彼女達はこれからこちらで歳を取って、おばあちゃんになって、スペインで死んで、墓にはいるのかな、と。
深くは考えないままに、なんか凄いなぁ、と想っていた。

そしたらタイミングのいい事に、「ほぼ日」の今日のダーリンで。
(ほぼ日刊イトイ新聞5月31日版「今日のダーリン」より抜粋)

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・青山霊園には、たくさんの外国人のお墓があります。
いろんな理由で、さまざまな事情で、
日本に来て、なにかをなした人たちなのでしょう。
大きさもあるし、かたちもていねいにつくられていて、
きっと当時の人々に、大切に葬られたんだろうなぁと
想像することができます。

江戸から明治にかけて、日本が開国し、
新しい制度、新しい産業、新しい文化をつくるためには、
「先進国」からきてくれる
たくさんの「外人」さんたちが必要だったわけです。
その要請に応えて、この島国にやってきた人たちが、
たくさんいたんだろうなぁということを、
日本のとちがったかたちのお墓を見ながら
「犬とおとうさん」はしみじみ思うんですよね。

そしてね、この外人墓地の数々が、
だんだんと「無縁仏」になっていってるらしいんです。
故郷を離れて、この島国にやってきたのだから、
親族やらたくさんの友人たちとは、
いったんお別れしてきたわけですから、
お墓参りする人や、
管理料を定期的に支払う人も
途絶えてしまうということだって、
そりゃ、あるでしょうよねぇ。
外国で骨をうずめるって、そういうことなんだなぁ。
国際的な仕事が求められているとか、
国境を越えた活躍とかって、よく言われるけれど、
ストーリーは、こんなに先までつながっていくんですね。

じぶんの骨が海外に埋められているところを想像して、
散歩中の「犬とおとうさん」は、
じーんとさみしい気持ちになったりしてます。
それでもこれからの時代は、
海の外へ向うこと、国境のあっち側へと向う人が、
多くなっていくんだろうなぁ。
そういう人は、お墓に入るときには戻るのかな?
‥‥墓地にしょっちゅう行ってると、
こんなことを考えちゃうのでしょうかね?
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ナイスなタイミングで。(『ナイスな』は日本に渡って来て日本でもう死んだな(笑))
今と昔は違うので、昔の人はもっと覚悟を持って海外に来たことだろう。

「死ねば一緒じゃん、嫌いな場所で死ぬんじゃなかったらどこでもいいよ」
と、さっき連れ合いが。

……(笑)
「死、は存在しないので考えられない」と哲学的には強く確信していると普段嘯いているくせに、死ぬ前の話になると…(笑)

死に場所に想いを馳せて、ぼーっとスペインの34℃の太陽の下。