2008年7月31日木曜日

番犬は白

書き物仕事の足元に
何の番をしおる君
風を見つめて

(『飼い主の戯れ言』(出版未定))

2008年7月30日水曜日

絵画は空

駅を出て
仰ぎ見る
風吹かずして
雲あり
静止画のような空

(『七月の空』(出版未定))

2008年7月29日火曜日

BSは青

狭き画面の
向こうのあおは
西の空
歩き疲れた
吾を探しおり

(『スペイン恋歌』(出版未定))

2008年7月28日月曜日

夕空は茜

茜空
その透明な
赤色を
我が部屋までも
注ぎおり

(『七月の空』(出版未定))

2008年7月27日日曜日

囃子は赤

夏祭り
ほろ酔い気分の
宵歩き
祭り囃子に
囃しはやされ

(『七月の空』(出版未定))

2008年7月19日土曜日

授業は水

言葉を流す
クラスの川に
滔々と
気付いたら
吾も川流れ

(『教室のうた 1』(出版未定))

2008年7月18日金曜日

現実は無

「すべてある」
ロゴスの力で
知れてはおれど
目の当たりにして
戸惑いまどう

(『七月の空』(出版未定))

2008年7月17日木曜日

独呑は茶

ひとり飲み
時間値段を
読みながら
苦笑いなり
読めぬ自分に

(『酔っぱらいのうた』(出版未定))

2008年7月15日火曜日

拍子は白



うたいつつおり
繰り返す歌詞の饒舌が
君のリズムに
追い付かず鳴り

(『酔っぱらいのうた』(出版未定))

2008年7月14日月曜日

歌詩は赤



どんな歌
いつ歌えども
赤、赤、赤
赤に染めて
赤のかおりで

(『セニョール・ホニの涙』(出版未定))

2008年7月13日日曜日

空桶は黒



二十年
何度聴いたか分からねど
その度に違う
あいつを見たり

(『酔っぱらいのうた』(出版未定))

2008年7月12日土曜日

真昼は白

真夏の日向ぼっこ
キラキラの光のもと
白い風感じて

(『メス犬のひとりごと』(出版未定))

2008年7月11日金曜日

提灯は赤

軒下で
赤いひかりがぶらぶらと
ぶらぶら気分の
我らを誘い

(『酔っぱらいのうた』(出版未定))

2008年7月10日木曜日

夏香は白

あの夏の
立ち上がる熱気と香り
我が胸に、つと
苦味が走り

(『スペイン恋歌』(出版未定))

2008年7月9日水曜日

深読は赤

書く人の
気持ちをどれだけ読み込むか
愛情の他のデバイスはなし

(『教室のうた 1』(出版未定))

2008年7月8日火曜日

会議は灰

カイギアリ
カヨウノユウノ
ヨイドキニ
スワリツカレテ
カイギアリケリ

(『七月の空』(出版未定))

2008年7月7日月曜日

時間は灰

時間という
記号を横になぞらえて
ロゴスの道筋を眺めおる

(『七月の空』(出版未定))

2008年7月6日日曜日

病気は水

空の下
病も天の道なりと
朝の植木に水をやり居り

(『七月の空』(出版未定))

2008年7月5日土曜日

呑屋は茶

呑むという
行為の充つる
その際 (きわ) は
君と僕との
細胞の膜

(『教室のうた 1』(出版未定))

2008年7月4日金曜日

不視は空

花の種類も違うれど色も形もかくありて
ましてや見えぬ人の道なら

(『スペイン恋歌』(出版未定))

2008年7月3日木曜日

基準は無

×(ちょめ)×値
××率の
その"1"は
なんの基準で
吾を責めあぐむ

(『ヘルスメータの怪』(出版未定))

2008年7月2日水曜日

制度は黒

システムや制度の壁は
生きやすくするためのバイアスなり

笑え!

(『七月の空』(出版未定))

二人は茜

たれそかれ
せがまれ出でた
散歩道
散歩せらるる
吾に気付き居り

(『飼い主の戯れ言』(出版未定))