トラックは
運びに運ぶ
汗みどろ
親父の声と
血を飲む橘
(『ひとつの計画』(出版未定))
旗を持ち
歩く下校の
登り道
あの坂道は
どこまで続く
(『ひとつの計画』(出版未定))
食事時
お留守番前
昼寝中
こゆきが犬に
なるときそれは
(『飼い主のひとりごと』(出版未定))
おばば言う
肥料にまみれ
死んだ子の
その叫び音が
海鳴りと鳴り
(『ひとつの計画』(出版未定))
帰り道
臨む崖下
落つる友
死ぬる写真は
セピアにできず
(『ひとつの計画』(出版未定))
ガードレール
越した向こうに
春の草
緑に惹かれて
口にしてみる
(『ひとつの計画』(出版未定))
昇る足
アキレス腱の
その角度
汗の匂いと
海の匂いが
(『ひとつの計画』(出版未定))
与村井の
浜の景色は
静やかで
下るお子らの
足も忍んで
(『ひとつの計画』(出版未定))