ツェッペリン
高田渡に
矢野顕子
ワナホラララブ
ワナホラララブ
(『十月の選択』(出版未定))
冬の入り
足を伸ばした
高校で
17相手に
また繰り返す
(『十月の選択』(出版未定))
器やかん
釜フライパン
中華鍋
河童の皿さへ
ここにあるかな
(『十月の選択』(出版未定))
研ぎ澄ます毎に
切れなくなる
刀
それで切るのが
自分であれば
(『十月の選択』(出版未定))
小夜歩き
ま暗な公園
横に見て
肌に感じる
ま暗な秋の目
(『十月の選択』(出版未定))
人の死に
流るる涙
滔々と
吾もそれに乗り
淵に向かわん
(『セニョール・ホニの涙』(出版未定))
夢の中で犬になる
犬なのか
何なのか
なぜ分かる?
けれど、犬
(『十月の選択』(出版未定))
走ります
かさかさかさかさ
かさかさと
秋の落ち葉の
かさかさ天国
(『メス犬のひとりごと』(出版未定))
初秋の
朝の空気の吸いたさに
いつもより早く起きます
日曜日
(『メス犬のひとりごと』(出版未定))
子の顔を見て
親の眼を想う
親の言葉聴き
子のいつもを読む
(『教室のうた 1』(出版未定))
安らかに眠る命の
覚めくるは
存在
の謎の
始まりにてあらん
(『飼い主の戯れ言』(出版未定))
たまに来て
飲んでしゃべって
帰る友
度ごとに減る
量も強さも
(『セニョール・ホニの涙』(出版未定))
那に知れぬ
風の気配に
振り返る
秋の足音
枯れ葉の薫り
(『メス犬のひとりごと』(出版未定))
行ったり来たり
日々の駅
行ったり来たり
じっと黙っている
日々の駅
(『セニョール・ホニの涙』(出版未定))
ずる つる にゅ
にゅるる つるつる
つるにゅるぬ
つるる ずずずず
にゅるつるぬ
(『酔っぱらいのうた』(出版未定))
妻がいう
「芳香剤のいらない季節」
漂う夜の金木犀の
(『十月の選択』(出版未定))
人に気付いて
人を避け
人であることに、
は、とする
この日
(『教室のうた 1』(出版未定))
秋高し空に
手を差し上げ
つかむ
水色の上
貼り付いた雲
(『十月の選択』(出版未定))
空高し
光る緑も影を増し
落つる光を
受けきれずおり
(『武蔵野』(出版未定))
うらめしや
落ちくる雨が
名残を惜しみ
ふわり漂う
秋の宵
(『十月の選択』(出版未定))
言葉の裏
表は見えねども
かの人を想いて
なお精読(あいぶ)して
(『教室のうた 1』(出版未定))
乱れ髪
寝ぼけまなこに
傘の花
ひと雨ごとの秋
忍び寄る
(『セニョール・ホニの涙』(出版未定))
舞い踊る、汝
あまたの眼の中で
ひとりではなく
あまたの眼の中の
(『十月の選択』(出版未定))
深まるや
鏡に見えぬ
風の秋
樹々の葉が
染まり始める朝
(『セニョール・ホニの涙』(出版未定))
別れ道
ぶつかる、
えらばねばならぬ
後ろ向くより
前を向いた眼
(『十月の選択』(出版未定))