『とびっきりじゃ
ないけど
いつものクリスマス』
僕の思想が伝わり実る瞬間
(『十二月の十戒』(出版未定))
聖なる夜に
あなたの目に見ゆ
光景を
我が目に映せよ
サンタに祈り
(『十二月の十戒』(出版未定))
大嫌い、
綴るあなたの
メール読み
返す返事は
知らぬ振りして
(『十二月の十戒』(出版未定))
手の中の
白い寝息に
数えおる
あなたのリズムを
乱した時間
(『十二月の十戒』(出版未定))
別れるや
別れないやの
その峰は
遠の昔に
越え来たはずの
(『十二月の十戒』(出版未定))
絵の中の
人の眼(まなこ)に
筆を持つ
あなたの顔の
映るを探し
(『十二月の十戒』(出版未定))
君の描く
ものの輪郭(かたち)は
そをなぞる
心の筆の
愛の写しよ
(『十二月の十戒』(出版未定))
未来に行き
それを探る
言葉
過去に戻り
それを確かむ
記憶
(『十二月の十戒』(出版未定))
必然と思ひし
出逢いは
波の間に
偶然(つかのま)見えた
夏の幻
(『いとしのエリィ』(出版未定))
枯れ葉舞う
木枯らし色の
公園で
赤く色付く
恋もありけり
(『いとしのエリィ』(出版未定))
もくもくと
焼き鳥の火に
燻されて
もくもくもくと
焼酎を飲み
(『十一月は重症の』(出版未定))
静かなる
破滅という名の
終焉を
砕き砕いて
日々に散らして
(『いとしのエリィ』(出版未定))
思い詰めし
夜の涙は
尽きもせず
別れの準備も
酒に流れて
(『いとしのエリィ』(出版未定))
ないはずの
花の匂いが
したと言う
空に広がる
貴女の匂いよ
(『いとしのエリィ』(出版未定))
缶ビール
汝が手に取りし夜の
朱の色を
飲めず眺める
宵の疲れよ
(『いとしのエリィ』(出版未定))
いたはずの風景に
いないあなたをはめ込んで
またたく恋模様
(『いとしのエリィ』(出版未定))
今日もまた
繊細という
鈍感に打ちのめされて
酒を酌み居る
(『十月の充足』(出版未定))
歌にいう
「生まれ変わって出会うこと」
笑い過ごせぬ
秋の黄昏時(たそがれ)
(『いとしのエリィ』(出版未定))
親が子を呼びおり
雀の朝仕度
同じ名前に
振り向く街角
(『いとしのエリィ』(出版未定))
ラブソング
会えない貴女を
思いつつ
音符の数を
涙に似せて
(『いとしのエリィ』(出版未定))
におえども
姿も見えず
金木犀
いる筈もない
あなたの面影
(『いとしのエリィ』(出版未定))
開くたび
受信ボックス埋めつくす
君のメールを
消せぬこの朝
(『いとしのエリィ』(出版未定))
必然と思いし
出逢いも
別れては
偶然の砂浜の
一粒
(『いとしのエリィ』(出版未定))
ふと覗けば
粗い粒子の間に
夏の色が溶けて
熱気を抱き
我を襲えり
(『十月の充足』(出版未定))
茜まえ
「もういいかい」
垣根の向こうで
「まぁだだよ」
垣根を越えて
我を呼ぶ声
(『9月の空気』(出版未定))
あの頃を想い
「大好き」が
「好き」にかなわぬことを
また確かめ居り
(『九月の空気』(出版未定))
いざや昔
緑深まる
関ケ原
もののふ共が
東や西に
(『八月の花』(出版未定))
照る闇の
隙を埋め行く
宵踊り
夏の終りを
音に乗せ飛ばし
(『八月の花』(出版未定))
あれ、忘れた
ほらさっきまであった歌を
酒が喉中
流れるままに
(『八月の花』(出版未定))
犬が言う
うちなんだとて
ないちとて
吠える酒呑みゃ
酔ってよいよい
(『八月の花』(出版未定))
道のりと季節を隔て
飲む酒は
百代も前の
ここでの誓い
(『八月の花』(出版未定))
町の窓の数だけ
生きる命よ
泡沫の
弾く数より
多し少なし
(『八月の花』(出版未定))
変わらない朝の駅前
灰景色
アルゼンチンの眼で
焼直し
(『八月の花』(出版未定))
音が追い
散り行く火花を
初恋の終わりに見たり
夏雄花
(『八月の花』(出版未定))
蝉の出す
重層低音背に受けて
空間に舞う
ペンのスタッカート
(『七月の質』(出版未定))
遠き地の
味を誠に味わえば
風に添えらる
サフラン黄の
(『七月の質』(出版未定))
七色の光を垂らし
夏の黒
弾ける音も
闇に滲みて
(『七月の質』(出版未定))
夏曇り
照らぬ陽のもと
なほ冷めぬ
残る熱気を
持て余しおり
(『七月の質』(出版未定))
雨も止み
拭うハンカチ
せわしくて
あれよあれよと
夏来にけらし
(『七月の質』(出版未定))
梅雨明けの
夕の曇りの湿り気の
露を集めて
グラスの面に
(『七月の質』(出版未定))
夏の風
緑の球に
反射して
万世を巡りて
月夜の闇へ
(『七月の質』(出版未定))
扇風機
くるくる回る
羽の間に
時々見える
あなたが好きの目
(『飼い主の戯れ言』(出版未定))
正午前
緑の白を反射し居り
涼やかなる
やや暑さの盛りの
(『七月の質』(出版未定))
人ひとりの
鼓動と
息の出入り
生き方の妙
生活の柄
(『七月の質』(出版未定))
酒の音は
幾年前の
若岩の
抱く滑りを
富めど流して
(『六月の六角』(出版未定))
夏調べ
スポットライトの
強烈に
低く唸るは
冷房の風
(『六月の六角』(出版未定))
宵口の
ビルの光に
照らされて
手元のビルも
金色陽色
(『六月の六角』(出版未定))
嫁ぎ来た
ペットショップの
あんちゃんに
父親似だと言われた犬
ぬ?
(『六月の六角』(出版未定))
並立つ
固き壁らよ
なぞよそれ
中の暗さを
空に託さん
(『六月の六角』(出版未定))
寝る頬と
枕の形を
整えて
夢の扉を
やわりと押せば
(『メス犬のひとりごと』(出版未定))
銀の弦
あの頃聴いた
音をなぞりて
十五の指を
動かしてみる
(『高中正義はいつ?』(出版未定))
切り株の
上に芽生えた
命見て
傍らの犬を
儚げに
夏
(『六月の六角』(出版未定))
メルセデス
ビーエムオペルも
いいけれど
週末に乗る
チャリンコの味
(『メス犬のひとりごと』(出版未定))