いざや昔
緑深まる
関ケ原
もののふ共が
東や西に
(『八月の花』(出版未定))
照る闇の
隙を埋め行く
宵踊り
夏の終りを
音に乗せ飛ばし
(『八月の花』(出版未定))
あれ、忘れた
ほらさっきまであった歌を
酒が喉中
流れるままに
(『八月の花』(出版未定))
犬が言う
うちなんだとて
ないちとて
吠える酒呑みゃ
酔ってよいよい
(『八月の花』(出版未定))
道のりと季節を隔て
飲む酒は
百代も前の
ここでの誓い
(『八月の花』(出版未定))
町の窓の数だけ
生きる命よ
泡沫の
弾く数より
多し少なし
(『八月の花』(出版未定))
変わらない朝の駅前
灰景色
アルゼンチンの眼で
焼直し
(『八月の花』(出版未定))
音が追い
散り行く火花を
初恋の終わりに見たり
夏雄花
(『八月の花』(出版未定))