
きた向かう
旅の途中に
よい酒よ
まだ見ぬ風の
冷ややかに乗り
(『五月の誤解』(出版未定))

雨便り
届いた空を
返り見て
まだ来ぬ夏を
諦めず待ち
(『五月の誤解』(出版未定))

きたの地は
巻き戻しの
季節
ここは春
春の色とは
他にあらずや
(『五月の誤解』(出版未定))

空っぽの部屋よ我が内
空っぽの心を
冷やしたもことなかれ
(『五月の誤解』(出版未定))

またここも
懐かしむ日が来ようかと
普段見ぬ地に
足を踏みやり
(『五月の誤解』(出版未定))

音で聞く
小林秀雄の言霊は
鼓膜を貫き
髄に染み込み
(『ひとつの計画』(出版未定))

年毎に重ねる歳を
数えては
なにを計りて
なにを嘆かん
(『五月の誤解』(出版未定))